LifeFixNote|現場と生活の改善メモ

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塗装品質を左右する一番大事な管理。温度とシンナー配合率の話

塗装管理と聞くと……

  • 撹拌
  • 粘度
  • 保管
  • 調合手順

このあたりを思い浮かべる人が多いと思います。

まぁ、一般的ではありませんが、塗装現場に従事している方なら知っていることですよね。

そして、これらはもちろん全部大事です。

でも、その全部を差し置いて一番大事だと私が思っているのが……

温度管理とシンナー配合率管理です。

これは正直、かなり重要です。

そしてかなりの地獄です(笑)

今回は、その話をします。

塗装にはセッティングタイムがある

塗装にはセッティングタイムというものがあります。

これは簡単に言うと、塗装と塗装の間に設ける乾燥時間です。

私の職場では5分。

これは設備の関係上『5分』であり、技術的にどうにかなる問題ではありません。

とにかく、この5分の間にどれだけ塗料を乾燥させるか。

ここがかなり重要です。

 

乾燥が早すぎるとどうなる?

乾燥が早すぎると、表面が先に乾いてしまいます。

すると次の塗装を乗せた時に、塗装面が波打ったようになります。

これは、『ゆず肌』と言われる現象です。

さらに極端に乾燥が早いと、メッシュの目詰まりも起こします。(これは調合ミスなどによって極端に乾燥が早すぎたりした場合です)

これは、発生すると塗料の吐出が停止したり、吐ブツ不良が出たりと、かなり面倒なことになります。

 

乾燥が遅すぎるとどうなる?

逆に遅すぎると、塗料が流れます。

そして、流れた塗料が製品のフチに溜まるのが、『ダレ』です。

さらに、色が流れてムラになる『色ムラ』。酷い時は製品全体がマダラ模様になります。

ツヤが抜ける『ツヤビケ』。これは、ゆず肌よりも細かい肌荒れが出ます。

つまり…

  • 早すぎてもダメ。
  • 遅すぎてもダメ。

ちょうどいい乾燥速度が必要です。

 

理想は少し早め

これはあくまで私の考えですが、乾燥は少し早め管理が理想です。

遅い方が事故率が高いし、セッティングタイム中の乾燥管理が大変だからです。

ダレると修正が大変です。

ただ、早すぎてもダメ。

このバランスが本当に難しいんです。

 

問題はブース温度

ここからが本題です。

私の職場にはボイラーがあります。

大体の塗装関連の職場にはあるかと思いますが、ボイラーによって冬はブースを温められます。

なので比較的安定します。

でも問題は夏です。

冷却設備(チラー)がありません。

これが地獄の始まりです。

朝→28度。

昼→42度。

ひどい時は44度まで行くときなんかも普通にあります。

これがかなりヤバくて、40度を超えると世界が変わります。

同じセッティングタイムでも、乾燥速度が全然変わってきます。

つまり、同じ塗料の調合では対応できません。

 

温度に合わせて配合率を変える

私の職場では、ブース温度が2度変わるごとに、シンナー配合率を変更します。

シンナーには速乾性、遅乾性の2種類があります。

実際には何種類もありますが、ざっくりと2種類だと思って下さい。

これらのシンナーを、塗料の種類と量に応じて60%から80%の希釈率でブレンドします。

例えば塗料1000gに対して60%希釈であれば、600gのシンナーを投入します。

そして、例えばブースの温度が。

  • 30度→速乾性30%・遅乾性30%(合計60%)

これが基本だとします。

  • 32度→速乾性25%・遅乾性35%

同じ60%でも、中身を変えます。

これで乾燥速度をコントロールします。

このルールを徹底しています。

でも現場はそんなに甘くない。

 

ここからは現場の話(笑)

「よし、今30度だからこの配合でいこう」

ルールに沿って、30度設定の塗料を調合完了。

その調合済み塗料をポンプ室まで運搬して、セッティング完了。

その30分後……ブース温度32度

「え……」

もう、大忙しです。

パニック状態です。

でもこんなことは日常茶飯事です。

ここまではよくあることなのです。

「仕方がない」と割り切り、もう一度調合し直します。

今度は「このまま上がるな」と、先読みして、さらに2度上の塗料を調合して、ポンプ室まで運んで、セッティング待ちにしておきます。

そういう時に限って……。

急に空が曇り始め、夕立到来。

そして気温が急降下……。

お祭り騒ぎです(悪い意味で)

もう地獄です。

夏場の夕立は敵です。

空から降ってくるのは雨ではありません。

それはもはや、悪魔です。

なので。塗装現場では天気予報をかなり見ます。

一歩間違えると、天気予報が仕事になるレベル。

前述した通り理由はシンプル。

  • 温度が変わるから。
  • 湿度も変わるから。
  • 調合が変わるから。

もはや自然との戦争です。

 

ベース塗装は特にシビア

特にベース塗装……これが難しい。

ベースさんは、かなりわがままなのです。

プライマーは多少管理が甘くても、ベースとクリヤで隠れます。

でもベースさんはダメです。

少し乾き過ぎるだけでクリヤと馴染まず、スーパーゆず肌になります。

お肌が敏感なんです。

化粧水という名のベース塗料は、少し潤っている内にファンデーションという名のクリア塗料を塗ってあげないとすぐにお肌がガサガサになります(笑)

ベースさんはかなり厄介なのです。

 

休憩前ルール

私の職場ではルールがあります。

休憩前にベースを止めない。

必ずクリヤまで終わらせる。

これです。

理由はシンプル。

乾きすぎるから。

ベースは、乾くか乾かないか。

そのくらいで次工程に渡すのが理想です。

そうすると層同士が馴染みます。

肌が整います。

これは本当に大事です。

 

現場で使う言葉

私の職場では、調合作業者に対してよくこう言います。

  • 「少し早くして」
  • 「少し軽くして」

これは、乾燥を早めるという意味です。

速乾シンナーを5%アップして、遅乾シンナーを5%ダウンさせるという意味になります。

逆に。

  • 「少し遅くして」
  • 「少し重くして」

これは、乾燥を遅くするという意味で、先ほどの逆に調合してもらいます。

ちなみに、この「少し」は基本5%です。

3%でも7%でもなく、5%。

理由は管理しやすいからです。

人がやる以上、分かりやすさが重要です。

 

まとめ

塗装品質は、塗料だけで決まりません。

  • 温度
  • 湿度
  • 配合率
  • 乾燥速度

全部が関係しています。

特に夏場。

塗装現場は本当に地獄です。

でも、その地獄を管理して初めて、安定した品質が作れます。

塗装って、ただ吹けばいい仕事じゃないんです。

自然と戦いながら、毎日条件を合わせ続ける仕事なんですよね。

 

 

ここまで記事を読んでくださり、ありがとうございます。

私の書いたブログをまとめた【Fixer辞典】を貼っておきます。

もしよかったら読んでみてください。

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